2016.09.02
マニュアル電子化を効率的に行うためのポイント
昨年の8月に約10,000ページのマニュアル電子化の仕事を受注しました。電子化の前作業「リライトや編集」もありましたが、電子化の作業については設計を含めて6か月以上かかりました。
この電子化作業中に、いろいろな問題を発見しました。これから電子化を考えている企業様の効率的な作業のために、以下のご提案が多少でも参考になればうれしいです。
目次
リライト・編集のポイント
HTMLファーストを意識する
マニュアルはWordまたは一太郎で作成されているケースが多いと思いますが、これらのソフトはどなたでも使えるので、マニュアルによってレイアウトがバラバラです。かつスタイルが構造的に考えられていないので、階層が深かったり、横長の表を小さな文字で埋め込んであったりと、レイアウト、文字の使い方、スタイルが不統一で多様です。
これらをHTMLにするには、スタイルを単純化し、統一する必要があります。もっと言えば、紙ベースのマニュアルを作成するときに、電子化を考えてレイアウトを考えていただければベストですね。
編集は最新のWordで
電子化は、Wordでレイアウトを統一したあと、そのWordからHTMLにします。Wordのバージョンが古いとソースにWord特有のタグが多く含まれ、それらを整理し、きれいにするのに手間がかかります。
できれば、最新のバージョンでマニュアルを作成していただければ、ソースもきれいで、整理する工程の手間が減らせます。
HTML作成のポイント
HTMLでは実現できないレイアウトの工夫
Word等で流れ図などは描くとき、左から右へと描くことがありますが、HTMLの場合は基本的にデータの流れは上から下です。図の流れが左から右へ、さらに下に行ったり上に行ったりすると、HTMLでは実現できず、画像として貼り込むことになります。また、非常に細かい表や左右に幅のある表なども、HTMLではきれいに再現できません。
細かい表は、複数の表に分ける、イメージだけ表示して別ウィンドウのPDFで表示するなどの工夫が必要です。
ユーザーが更新できるよう単純なHTMLで作成
正直、ある程度のレイアウトはHTMLで実現しようとすればできないことはありません。しかし、あまり複雑なHTMLはユーザーが更新するには難しすぎます。
CMSを使ってユーザーが更新する場合でも、なるべく単純で、選択や工程の少ない手順、HTMLにすべきです。
本筋論で言えば、マニュアル自体がわかりやすく、単純化されていないとダメですね。
HTML変換のポイント
コスト削減に「XML」の利用
電子化の移り変わりである今は、紙媒体とWeb閲覧両方に対応しなければならないため、その両方を作成する作業時間が発生します。 紙媒体用のマニュアルはWordもしくはIndesign等で作成し、それを原稿にDreamWeaverでWeb閲覧用にhtmlを作成することになります。そうなると作業時間も費用も倍になります。
しかし、XMLという技術を利用すれば、時間も費用も大幅に削減することができます。
XMLとは、異種のコンピュータ間で文書の互換を行うための言語で、文書のもつ「章見出し」「節見出し」「本文」などの論理構造を記述することができます。タグは文書の論理構造に対応しているため、異種のコンピュータでも文書の論理構造をそのまま再現します。
Wordで「XML」データを作成、そしてHTML変換
Wordはバージョン2003以降、XMLの形式に保存できるようになりましたので、マニュアルをXMLデータで作ることができます。そして、そのXMLデータを利用すれば、ツールが必要となりますが、HTMLデータに瞬時に変換することができるのです。 それも不要なソースが省かれたWeb用のレイアウトとして。
難しいことは省きますが、
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Wordでマニュアル作成→ツール変換→Web用のhtml生成
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上記の工程で、紙媒体とWeb両方に対応したマニュアルが作れるわけです。
肝心の変換ツールを作成するのに知識と技術を要しますが、一度作ってしまえば、以後大幅なコストダウンが望めますよ。